私は、いわゆる貴族のご令嬢という立場だった。

それでも、その立場が嫌いで、よく街中に1人で出歩いた。

適当にブラブラと歩いていると、ござに物を広げた男がいた。

「何してるの?」

「店」

ぶっきらぼうに答えたのは、ボロボロの服をまとった男だった。

「こんな男には近寄らない」と親には教えられていたけど、

私は好奇心に勝てなかった。

「お店?これって売り物?」

「ああ、買いたければどうぞ」

私はござの上の物を1つ1つ見た。

小さなアクセサリーや、古い家具なんかが置いてあった。

どれも必要なさそうだったが、その中で1つ、

何か興味を引かれるものがあった。

それは、大きな鏡、姿見だった。

当然家にも鏡はあるけど、何か気になった。

「分かった」

男が言う金額を払うと、男はそのまま立ち去ってしまった。

残された私は鏡を見て、気づいた。

どうやって持って帰ればいいだろう。

と思いながら鏡に映りこむ私を見て、とても驚いた。

鏡に映った自分の顔が、笑うなんて。

もちろん、私は顔を動かしていない。

驚いた表情をしても、鏡の向こうの私は笑ったままだ。

やがて、鏡の私が鏡から「出てくる」。

「あなた・・・誰?」

答えはなんとなく分かっていても、そう聞いた。

「私は、あなた」

そう、彼女は、私自身だった。


一瞬の光に目がくらみ、

気がつくと私は、塔に閉じ込められた。

鏡の「私」がどうしているかは分からない。

私に成りすましているのかもしれない。

本物の私、いや、この世界の私が

ここに閉じ込められていると知っているのは、

私と「私」と、一匹の天道虫だった。

塔にある唯一の窓から時々現れる。

手かせのせいで両手を合わせて持ち上げると、

当たり前のように止まってくれる。

他に話し相手がいなく、発狂しそうなせいもあって、

私はその天道虫によく話しかけた。


毎日、天道虫は来てくれた。

なぜかは分からないけど、私は何も食べなくても

空腹にならなかった。

天道虫が魔法をかけてくれているのだろうか。


何日経っただろうか。

外の世界がどうなっているかは分からない。

下の方が騒がしい。

唯一の窓から顔を何とか出そうとすると、下から声が聞こえた。

「下がっていろ!」

どこかで聞いたことのある男の声。

反射的に3歩下がると同時に、窓が爆発した。

いきなりのことで悲鳴を上げてしまう。

やがて煙が収まると、私が通れそうな大きな穴が開いていた。

身を乗り出してみると、塔の下に、私に鏡を売った男が立っていた。

他にも何人かいたが、すべて倒れていた。

「飛び降りろ!受け止める!」

少し息の切れた声で、男が叫ぶ。

どうすればいいのか迷ったが、私は飛び降りた。

一瞬のふわりとした感覚のあと、下から来る強い風。

それが止んだのと、男に受け止められたのは同時だった。

血が沸騰するほど怖かったのに、

男に受け止められると同時にその感情が消え去った。

「大丈夫か?」

私をおろして尋ねてくる男。

鏡を売ったことを思い出して、怒りがこみ上げてきた。

「何よ!あなたがあんな鏡を売らなければ・・・」

「すまない」

即座に謝る男に、口をつぐんでしまった。

「俺も騙されていた。『何でもいいからこれのどれかを売れ』

と、お前の母親に言われて」

予想外の人の名前が出る。

「お母さんが・・・?」

「俺が勝手に調べたところ、母親は悪魔と契約していたらしい。

金持ちにする代わりに子供に成り代わらせろと」

「そんな・・・」

「その悪魔とやらをぶちのめしたいところだが、俺はただの人間だ」

「ど、どうするのよ」

「逃げる」

「え?」

「このまま逃げて、どっかで暮らす」

「はあ?」

「このままだとお互い悪魔に殺されるだろう。

それでもいいんだって言うなら俺はそうするが」

「あ、当たり前じゃないの!なんであんたみたいな男と・・・」

「いたぞ!」

突然別の声が後ろから響く。

振り返ると、警備員が3人、こちらに走ってきた。

「物陰に隠れてろ!」

と叫んで男は走り出した。

私は動くことが出来ずに、たたずんでいた。

走った勢いで警備員の1人に向かってウェスタンラリアートを食らわせ、

続けざまに隣の男に蹴りを食らわせた。

が、残りの男が即座に持っていたナイフを投げた。

背中から右胸に突き刺さる。

「っ!・・・」

私が声にならない悲鳴を上げてしまう。

男は振り向きざまに裏拳で男を倒すが、そのままふらついて倒れる。

「ちょっと、大丈夫!?」

あわてて駆け寄る。

男の傷口から赤い血がどくどくと流れる。

それだけで貧血で倒れそうになるのを必死でこらえて、

どう対処しようか考える。

すると、ポケットから紙が落ちる。

それは、どうやらお母さんから男への命令書だった。

『我が息子へ』

え?

『貴方の妹を―』

まさか――

男の顔をよく見る。

それは、とても昔に死んだといわれていた・・・

「お、兄ちゃん?」

青ざめていく顔は、昔何度も遊んでいた兄だった。

「嘘でしょ・・・?」

支える体が冷たい。

「お兄ちゃん!」

「なんだようるせーな!」

いきなり叫んだお兄ちゃんは、手で軽く私の頬を叩く。

「あれ?」

「んな簡単に死ぬか!」

ナイフが刺さったまま起き上がる。

「だって・・・ナイフ・・・」

「よく見ろ。鎖のかたびらを少し貫いただけだ」

特に痛そうにせずに引っこ抜く。

ボロを着ていたから刺さり具合は見えなかった。

「う・・・」

気絶していた警備員がうめきをあげる。

「こいつらが起きたらまずい。どうするか早く決めろ」

「・・・わかった。逃げよう」

私たちは、手をつないで、知らない世界に旅立った。




普通の三題噺といったら、即興でやるものです。

元にした福井さんは、10秒で作りました。


1ヶ月以上経って、すいませんでしたorz

いやね、話の基自体は出来てたんですが、

「本当にこれでいいのか!?」と色々悩んでどっかいってました。

ただ今日読んだ「文学少女と死にたがりの道化」で三題噺ってもう何でもいいんだと開き直り、

勢いで書きなぐりました。


それにしても、ファンタジー初挑戦。

あれ?待てよ?

これってファンタジーか!?

時代も国もわかんねーぞ?ww

勢いで書いたので、なんか最早なんでもないような気がしますww

それに天道虫も途中で忘れたし(コラ

さらに窓が爆発したのは最後まで不明です(ぇ

悪魔とか出てくるのにバズーカ片手に男が出てくるとかはないと思って。


あ、でもフルメタの「シンデレラ・パニック!」では魔法バズーカ出てきたからいいか(ぉ


とにかく、ネタを提供してくださった迦ryさん、翼さん、向日葵さんありがとうございましたー

残っているワードもいつか使うかもしれません。

もうすぐ恋愛奇談の後編も出来るかもしれません。

ただ、頼むから期待しないでください。

2008.12.19 Fri l 小説 l COM(6) TB(0) l top ▲

コメント

No title
鏡は、冒頭に来ましたのぅ

とりあえず、脳内ではなぜか18世紀くらいのドイツという世界が広がってましt
2008.12.19 Fri l 翼ある剣士. URL l 編集
Re:翼さん
使いやすい言葉だったので、そこから話を広げてみました。

ほほう、18世紀ドイツ・・・
世界史は苦手なのであんまり分かりませんww
2008.12.20 Sat l 金木セイ. URL l 編集
No title
天道虫がここで使われてるのらぁ!

ふむ。現実の非現実ですねb
ヨーロッパを想像〜。
2008.12.21 Sun l 迦ry. URL l 編集
とおりゃー!
ラリアート食らわしてくれてありがとう♪
ほどよい使い方ですね!
(by向日葵
 
…兄と二人、仲良くやってます。天道虫は、いつか私を迎えに来てくれる王子様に違いありません!
(by兄と逃げた妹
2008.12.21 Sun l 向日葵0718. URL l 編集
Re:迦ryさん
天道虫は後半でも活躍させる予定でしたが・・・
すっかり忘れてましたサーセン

もういっそ黒執事みたいなパラレルワールドでバズーカも登場させましょうかww
イメージ的にはそんな感じですねw
2008.12.22 Mon l 金木セイ. URL l 編集
Re:向日葵さん
塔の窓破壊する前も色々ラリアート決めていました

おし、じゃあそんな感じで続編を考えて見ましょうか(え
2008.12.22 Mon l 金木セイ. URL l 編集

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