お札を剥がしてから2ヶ月ほどが経った。

例の幽霊は、成仏するどころか

思いっきり生きているかのように私に居座り続ける。

まだ特に災厄が降りかかるということはないが、

さっさと成仏させないとと思い始めた。


そんなある日。

欲しい洋服があって、町に繰り出した。

当然だが、レイトもついてくる。

最近生意気になって更衣室を覗こうとか思いだしたらしいから、

懐にゴミ箱から出したお札を忍ばせてある。

変なことしたらまた封印するとか言うと結構効果的だ。

最初からそうしておけばよかった。


で、目的の洋服を手に入れて、帰宅の途につこうと思っていたところ。

雑踏の中に見知った顔を見つけた。

「あれ?ユウジじゃない」

「ああ、ミユ」

ユウジの性格上、こんな街中に出てくるのはとても珍しかった。

どうしたの?と聞こうと思ったところで、すぐに理由がわかった。

「あら?ミユじゃないの」

ユウジの後ろにいる女。今ユウジと付き合っている西城戸アリサだ。

「そういえば2人って幼馴染だったのね」

私とアリサはクラスメートという関係にある。

「ああ」

ユウジは何も考えないかのように普通に答える。

「どうしたの?」

アリサから聞いてくる。

「ううん、ちょっと洋服買いに来て、帰りに偶然会っただけ」

「なんだ。楽しそうに会話しているからてっきり・・・」

そこで言葉を打ち消す。

どくん。

あれ?

「そういうあなたたちは、デートでもしてるの?」

ちょっと皮肉をこめて言ってみる。

「あははー、まあそんなところ」

「いや、ちょっと付き合ってほしいといわれただけで・・・」

ドクン。

え?

「じゃ、用がないなら私たち行くね。まだ用済んでないし」

「あ、うん。引き止めてごめんね」

手を振る私を無視するように、さっさと歩いていくアリサ。

ユウジは手を振り返そうとして、アリサに引っ張られていった。

視界から消える直前、アリサがユウジの腕に抱きついていたのが見えた。

ドクン。

また心臓が高鳴る。

なんで?

別に私はユウジが好きだとか、そういうことはないはずだ。

ただ昔から遊んでいて、ちょっと頼りになるなあとか。

ドクン。

また遊びたいなあとか。

ドクン。

一緒に出かけたいなあとか。

ドクン。

今のアリサの場所に私がいたらいいなあとか。

ドクン。

ドクン。


キモチワルイ・・・


《おい?》

「ひゃあ!」

レイトに声をかけられて、ようやく我に返る。

そういえばレイトのこと忘れてた。

《大丈夫か?》

「え?な、何が?」

《いや、ずっとぼーっとしていたから》

「え?ううん、大丈夫だいじょうぶ・・・」

とは言うものの、どうしても動揺は隠せなかった。

《・・・・・》

レイトはしばらく、口に手を当てて何かを考えているようだった。

「どしたの?」

《・・・よし》

やがて何かを決心したような顔をして、

《ちょっと野暮用ができた。ここで待っててくれ》

と言って、どこかに飛んでいってしまった。

「え?ちょ!・・・なんなのよ」

仕方ないから、しばらく待ってみた。


人もまばらになってきたころ、1人の男がこちらに駆け寄ってきた。

最初はレイトが戻ってきたかと思ったけど、違った。

「悪い・・・ミユ」

ユウジだった。

「ユウジ・・・どうしたの?アリサは?」

背後には誰もいない。

「アリサは・・・さっき振ってきた」

「はあ?」

思い切り間抜けな声が出てしまった。

「俺・・・やっぱりミユのことが好きなんだ」

・・・・・

一瞬、思考が停止してしまった。

ユウジ、今なんて言った?

「今まで気づけなくて悪い・・・ずっと前から、俺はお前のことが好きなんだっ」

ユウジの大きな体がいきなり私を抱きしめる。

だから、ちょっとまってちょっとまって。

天然なユウジがいきなりなんで

そりゃあそんなことやってほしいと思ったこともあるけど

でもユウジに彼女ができてからはもう覚めた夢で

でもやっぱり

・・・・・・


て、思考停止している場合か。

ゆっくりユウジの体を引き剥がした。

「ミユ?」

「ふざけないで」

「は?」

「あんた、レイトでしょ」

「な、何言ってるんだよ。俺は・・・」

「ユウジの一人称は『僕』よ」

「え?」

「ユウジがこんなことできるわけないでしょ」

それだけ言ってやると、ユウジ(の体を使うもの)は諦めたように髪をかきむしる。

「あっちゃー、ばれたか。結構頑張って演技したんだけどなあ」

ユウジに憑依したレイトは、ユウジが絶対しないような表情で愚痴る。

「なんで・・・こんなことしたのよ」

「いや、ミユがこいつと一緒になりたいなあって顔していたからっ」

その後の言葉は、私がレイトの頬をひっぱたいてさえぎった。

ユウジの体だとしても、我慢できなかった。

「・・・・・」

レイトは、頬をさすりながら驚いた表情でこちらを見る。

こういうとき、どう言えばいいんだろう。

思い切り怒ればいいんだろうか。

懐のお札でも貼って成仏させようか。

色々考えたけど、頬に暖かいものがつたるのを感じて、あわてて後ろに体を向ける。

「・・・バカ」

搾り出すようにそれだけ言って、走り出していた。


悔しかった。

ちょっとでもうれしいと感じてしまった私自身に。

情けなかった。

涙が止まらないことに。

悲しかった。

追いかけるレイトを無視することしかできないことに。


「ミユ!!」

これまでと違い、ひときわ大きな声で叫ぶレイト。

何事かと、急ブレーキをかけようとしたところで。


大きなクラクションと共に、

巨大なライトで私を照らした、

大型トラックが迫ってきた。





というわけで、まるで次回が最終回のような終わり方ですが、

次回最終回です(ぉ


サブタイはやっぱりリトバスです。


最後のあたり、思いっきりミユに「僕は死にましぇーん!」とか叫ばせたほうがよかったでしょうか。

え?ネタが古い?



一応キャラ紹介。


西城戸アリサ(cv:清水香里、エロゲ声優じゃないほう)

ユウジの彼女。

たぶんもう出ない(ぉ


つーわけで、最終話も全力でかきたいと思います。

こんだけ行ったらそれなりに予想つくだろうけど。
2008.12.02 Tue l 小説 l COM(2) TB(0) l top ▲

コメント

No title

最終話まってるにょ☆
2008.12.05 Fri l 翼ある剣士. URL l 編集
Re:翼さん
ありがとうございます。
全力で書きたいと思います。
2008.12.06 Sat l 金木セイ. URL l 編集

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