毎年7月7日。子供たちは空を見上げ、星々に願いを込める。
 それは現代、大人になった子供たちも変わらない―――



『ご覧いただけますでしょうか、この不可思議な光景!現在町中には不可思議な服装の女性が多数出現しております!』

 ニュースに映る街角の映像に、俺は思わず歯磨き粉を飲み込みそうになった。
 気だるそうに町を闊歩しているのは、異様に長いマフラーとは対照的に胸からへそにかけて大きくはだけた服を着た女性。頭からは三日月状の鎌のような角が二本、アンテナのようにくるくると回っている。
 豊満な胸を強調するような服装で恥ずかしげもなくランニングをする女性は、一見すると少し服のセンスが特徴的なだけだ。髪の毛が頭頂部で上に伸び、吸盤になっていなければ。
 母親らしき女性に手を引かれているのは、セーラー服に身を包んだ少女・・・にしては、やはり頭には角が生え、背中からは翼がはためいている。
 今日はハロウィンだったか。いや、ハロウィンにしたって公然猥褻で警察に補導されそうなほどきわどい格好ばかりだ。

『なんじゃ!わらわを誰と心得る!この文明もルルイエのようにしてやろうか!』

 インタビューを受けたのは幼稚園か小学生程度の子供・・・アンモナイトのような巨大な被り物と、両脇からどう見たって生きている蛇を生やしていなければ。
 被り物が重すぎるのか、子供扱いに怒った少女は仰向けに倒れ、近くにいたフードをかぶった女性に起こされていた。その女性も岩みたいな模様の服を着ているあたり、普通の人間ではないのだろう。
 異常事態なのはわかる。
 がしかし。
 これは果たして、ATACKの管轄内なのだろうか。


    ※


「あれはエレキング、あいつはケムール・・・いやゼットン星人、そいつはザンドリアス。こいつはガタノゾーア、隣のは・・・ああ、ゴルザか、なるほど」

 ATACKベース、CIC。
 俺も見た朝のニュースに逐一指摘するミサ。出てくる名前はやはり、Uクリーチャーのものだった。

「はえ~、よくわかりますねミサさん」
「腹立つことにうまいこと特徴捉えてるのよね」

 二宮は感心するが、ミサの方は不満そうだ。いつもは好きな怪獣が現れると目を輝かせて必要ないところまで解説するが、今回は名前だけ言って口を堅く結んでいる。

「よかったじゃねえか。お前の好きな怪獣さんがこんなかわいい姿で現れたんだから」

 俺が言おうか言うまいか悩んでいると、同じことを芦田が言った。そして同時にミサの血管が切れる音を聞いて、俺が言わなくてよかったと思うのであった。

「何がかわいい姿よ!怪獣ってのはその時点で洗練された至高の姿なの!そこいらのガキがコスプレしてその魅力を伝えられる訳ないでしょ!エレキングってのは目がない代わりにエレキ角で状況を察知できるのよ!なんでそこに目なんかついてんのよ!ゼットンを操る宇宙人がなんでばいんばいんなのよ!三千万年前の文明を滅ぼしたのがなんで幼女なのよ!ふざけんじゃねええええ!!」

 どこから出したのか、エレキングのソフビ人形を持ち出して「ほらこれ!これ!」と芦田に熱弁するミサ。こんなテンションは初めて見たが、おそらくあと三十分は止まらないだろう。しばらく付き合ってやれ、芦田。

「集まっているな」

 事実、冷静な物腰で江原隊長が入ってきても、ミサのUクリーチャー談義は収まるところを知らなかった。
 隊長はそちらが終わってから話を始めようとしばらく待ったものの、時間の無駄だと悟って俺と二宮に話を始めた。

「知っての通り、Uクリーチャーに酷似した女性がポイント707を中心に多発している。彼女らは自身を怪獣、あるいは宇宙人と主張し、警察では身分の特定ができなかった。また一部の個体は飛行、火炎放射などの能力を有していることから、ATACKでは彼女らをUクリーチャーと断定することとなった」

 ただのコスプレパーティーにしては異様な光景だと思ったが、やはりUクリーチャーが関わっていると。これも侵略活動の一環なのだろうか。

「現場に向かい、発生原因や目的などを調査する。あー、芦田と里中はここに待機して指揮を執ってくれ」

 聞こえてますかー、エレキングの模様がいかに美しいかを説いている人ー。

「早速出撃だが、質問はあるか?」
「はい!隊長!」

 隊長の言葉が終わるや否や、二宮の右手がぴんと伸びた。その表情はえらく真剣で、一刻も早く知らなければならないことがあるようだった。

「何だ、二宮」
「ポイント707に・・・ウルトラマンに似た美少女はいますか!?」

 それ、今聞かなければならないことか?


    ※


 現場を一通り探索したが、ウルトラマンに似た女性は発見されなかった。
 《コンベクションキャリアー》で体育座りして落ち込む二宮は置いといて、調査を始める。
 その辺を歩き回っているGクリーチャー(ガール・Uクリーチャーの略、便宜上の呼称)はほとんどが言葉が通じ、さらに友好的な態度のものが多かったので、調査は思った以上に捗った。
 彼女らの話をまとめるとこうなる。

・自分たちは間違いなく各Uクリーチャーである。
・かつてウルトラマンたちに倒されたところで記憶が途切れ、気が付くとこの場でこの格好になっていた。
・性格、意識などは十人十色。だがやる気がなくなった、倒されたトラウマ等から、破壊活動、侵略の意志はほとんどない。

 ついでに付近住民に話を聞くと、「力持ちな子が積極的に手伝ってくれるから助かる」「頭いい子が子供に勉強を教えてくれた」「かわいいからいい」など、好意的な意見が多数。
 これは・・・無理に退治しない方がいいんじゃないか?

『いいわけあるかボケ!』

 モビルシーバーでミサに相談したところ、耳をつんざく怒鳴り声が帰ってきた。

「とは言ったって、Gクリーチャーたちも蘇って楽しんでいるらしいし、困っている人はいないしさ」
『ここに一人いるわよ!迷惑してる人間が一人!』

 それは単にお前が毛嫌いしているだけだろ。
 このまま言ったところで押し問答になるだろうし、ひとまず深呼吸をさせる。

『・・・あのね。倒されたUクリーチャーはみんな怪獣墓場という次元の向こうに流れていくのよ。そんな魂が戻ってくるということ事態異常事態なのよ』

 次元を越えるというのは言葉では簡単だが、光の国のウルトラマンが全てのエネルギーを結集させてようやく一人跳躍できるほど難しいことらしい。
 もちろん、次元跳躍が得意なUクリーチャーもいるだろうから、決しておかしな話ではないのだが、それでもやはり少女の姿になっている説明がつかない。

「女の子の姿にすれば世論を味方につけられて、侵略がしやすくなると考えた、とか?」
『そういう俗っぽい侵略方法思いつく奴もいるけどさあ・・・どうもそのGクリーチャーとやらが本当にUクリーチャーの生まれ変わりとは思えないのよ。
 なんか見落としてる気が・・・この時期に何かあったような・・・』

 ただでさえ不満な事件が起こっている中、思い出したいものが思い出せないというモヤモヤで苛立ちはより一層募っていることだろう。
 こちらにぶつけられる前に切ろうか・・・と思った矢先。

「レイお兄ちゃーーん!!!」

 黄色い声と同時に背中に鋭い何かが突き刺さる痛みが走る。
 その衝撃に押されて前のめりに倒れ、アスファルトに顔面を強打。俺がオリオンじゃなければ死んでたんじゃないか。
 で、いったい何が俺を攻撃したのかというと。

「レイお兄ちゃん久しぶりー!会いたかったよー!今度こそ惑星ブラムで一緒に泳ごー!?」

 俺の背中に突き刺した角を超高速で振動させる少女。まるでアスファルトを砕くドリルのような勢いだ。そのままにしておけば俺の腹から角が出てくるだろう。
 何とか引っこ抜き、顔をこちらに向ける。その角は少女の額から生え、さらに埋まった三日月状の角が猫耳のように生えている。スクール水着に身を包みながら、手足は茶色の堅い皮膚に覆われている。間違いなくGクリーチャーの一体だ。
 少女は俺の顔を見て、はっと目を見開く。

「誰!?」

 俺が聞きたい。


 とりあえず近くの喫茶店のテラスに座り、コーヒーとオレンジジュースを飲みながら話を聞く。このGクリーチャー、ゴモラはかつて、人に飼われていたらしい。

「違うよー、レイお兄ちゃんとは固い友情で結ばれた相棒だったんだよ」
「ミサ、レイオニクスって何だ?」
『ああ、レイブラッドの後継者候補のことね』

 レイブラッド星人というのは怪獣を操る能力を持った宇宙人であり、その遺伝子を持ったレイオニクスがその後継者となるべく怪獣を使ってバトルを行ったとか。
 やっぱりペットじゃないか。と言うとまた角から超振動波とやらを撃ちそうなのでやめておこう。

「それで、レイお兄ちゃんにそっくりなお兄ちゃんは誰?」

 怪力や能力とは裏腹に、性格は見た目相応の人懐っこい性格らしい。レイとやらのところにいたころもそんな性格だったのだろうか。

「遠野レキ、だ」
「レキ、お兄ちゃん?」

 どっきゅん。
 角が生えているとはいえ、幼子に上目遣いでお兄ちゃんと呼ばれるのははっきり言って悪い気はしない。付近住民が喜んでいた気持ちも理解できるというものだ。

『ふーん、そういうのが好みなんだ。レ・キ・お・兄・ちゃ・ん?』

 通信越しとはいえ、仲のいい仕事仲間から零下の目で睨まれるのは悪い気しかしない。だいたいなんでお前がキレるんだ。俺とお前はどういう関係にあるんだ。
 ぶーぶーと文句を垂れるミサはうるさいので通信を切って、ゴモラにも事情を聞いてみる。

「えっとねー、レイお兄ちゃんのところでばーっと戦ってー、たまにぼーって熱くなってー、時々かーって真っ赤になってー、ちょっとだけがちゃーんってかたくなってー、そっからー・・・」

 楽しそうにレイオニクスバトルの思い出(武勇伝?)を語っていたゴモラだが、次第にその顔がうつむいていく。

「なんか、ずっと狭いところに閉じこめられていたような気がする・・・」

 表情も陰り、膝を抱えてがくがくと震え出すゴモラ。

「狭いところ?」
「わからない。最初は時々明るかったんだけど、ほとんど真っ暗で、平べったいからぜんぜん身動きがとれなくて・・・」

 ゴモラのおびえ具合からして、相当怖い経験だったのだろうか。
 いや、動けない拘束された空間で意識だけがはっきりしているという状況は、何もされなくても拷問に近いだろう。
 その時の記憶が想起されているのか、ゴモラはさらに涙ぐんでおびえだす。元は怪獣とはいえ見た目は少女。このまま見ているだけというのも忍びない。
 震えるゴモラを持ち上げ、あぐらをかいた俺の足に座らせる。ゴモラは最初驚いてこちらを見ていたが、やがて落ち着いたように上体も預けてきた。

「・・・レイお兄ちゃんにも、よくそうしてもらってたっけ・・・」

 怪獣を座らせるって、どんな巨体だったんだレイ。

『レキくん、私です・・・何やってるんですか?』

 左手のモニターを開くと、今度は疑問符というか引き気味の二宮が映った。どうやらカメラには俺と、ゴモラの顔が映ってしまったらしい。Gクリーチャーの調査をしてると思ったら幼女と仲良くお茶してるんだから、そりゃ引くだろう。

「あー、気にするな。で、何だ?」
『原因ってわけじゃないんですけど、Gクリーチャーは全部、あるイラストと同じものらしいんです』
「イラスト?」
『とある雑誌で、青年向けにUクリーチャーを美少女化するという企画があるんです。現在確認されているGクリーチャーはみんな、その企画で描かれたイラストと類似しています』

 二宮が見せる雑誌の一ページに描かれている目が大きなイラストは、確かにニュース映像に映っていた女性たちと一緒だ。
 しかし多くの犠牲や被害を出したUクリーチャーを擬人化して愛でるとは、人間というのはたくましいというか気持ち悪いというか・・・
 しかしそれはあくまで絵だ。このように歩き回り、喋り、温もりを持っていることは説明が付かない。

「どう思う?ゴモラ」

 通信を切り、いつの間に取ったのかサンブラスターに興味津々なゴモラに尋ねる。

「んー、わかんない」

 さっきまで泣きべそかいていたゴモラだが、すっかり安心しきったのか、満面の笑顔でサンブラスターをいじる。というかそれ、その気になればUクリーチャー倒せるから。危ないって。
 本人たちに聞いても無駄なようだし、こちら側で考えよう。絵が実体化する・・・ミサなら何か知っているだろうか。機嫌が直っていることを祈りながら通信を開こうとした刹那。
 轟音と共に影が差したかと思えば、巨大な物体が二機の戦闘機に吊られて上空を通っていく。
 少し離れたところで懸架ワイヤーが切り離され、地響きと共に巨体が地面に落着。
 全身を銀の装甲で覆ったそれは、長い尾と尖った鼻を持ち、肩にはキヤノン砲らしきものを二門背負っている。ロボットのティラノサウルス・・・で片づけるのは簡単だが、あの姿、どこかで見たことあるような・・・

「あ、あれ知ってる!メカゴーーー」
『江原より各隊、巨大恐竜型ロボットが何もない空間から出現した。警戒を怠るな』
「ねえねえ、あれってメカゴジーーー」
『芦田だ。恐竜型ロボットが出現する直前、付近で宇宙線らしき物質を観測した。現在解析中だ』
「確か本当の名前は三式ーーー」
『あーー!わかったガヴァドンよガヴァドン!』

 なかなか言いたいことが言えずに不貞腐れるゴモラだが、今はそっちの話を聞いている場合じゃない。

「何だ?ガヴァドンって」
『昔現れた怪獣なんだけど、子供の落書きが宇宙線を浴びて実体化したのよ。たぶん今観測されたやつも同じ宇宙線のはずよ』

 子供の落書きが実体化・・・そうか。Gクリーチャーも元は絵だ。ガヴァドン宇宙線が雑誌に降り注ぎ、ガヴァドンのように実体化したということか。おそらくは今現れた巨大ロボットも、同じ雑誌に掲載されたイラストか写真なのだろう。

『それって、何か対処法はあるんですか?』
『確かガヴァドンは日が落ちると元の絵に戻るから、Gクリーチャーの方はそのまま待ってればいいはずだけど・・・』

 問題はあのロボットか。そのまま日暮れまで棒立ちしていてくれればありがたいのだが、やはりそうもいかない。
 ロボットは真っ赤な目を輝かせ、口を開けて咆哮、建物を踏み散らかしながらどこかへと歩き出した。
 ただの絵に侵略や破壊の意志はないようだが、このまま放置するわけにもいかない。

「ここで待ってろ」

 ゴモラを膝からおろし、俺は懐からカラータイマーを取り出す。

「レキお兄ちゃん?」

 ゴモラが見ている前だが、どうせ夕暮れには絵に戻るんだ、見られてもいいだろう。

「オリオーン!」

 カラータイマーを掲げてスイッチを押し、俺は光に包まれながらウルトラマンオリオンへと姿を変える。
 どこへと歩くロボットの前に立ちはだかり、なおも前進しようとするロボットを押さえつける。
 しかし、ロボットの力はすさまじく、必死で踏ん張ってもわずかに勢いを削ぐ程度にしかならない。
 それでもロボットの逆鱗に触れたのか、腕で殴られ、尾で叩かれ、牙が鋭く揃った顎を肩に突き立てられ。
 それでも妨害を止めないでいると、ロボットの胸部が三方向に展開し、中央の砲門を露出させる。
 何か来る、と思い避けたが間に合わない。青白い光線を超至近距離で受けてしまった。
 途端、全身に今まで感じたこともない、痛みに近い寒気を感じる。見ると、光線を受けた胸から徐々に体が凍り付いていた。
 太陽光線をエネルギーとするウルトラマンは、寒さに弱い。あっという間にカラータイマーが早鐘を打ち始める。おまけに寒さと凍結で思ったように体を動かすことができない。
 ロボットがゆったりと尾を持ち上げる。凍結した体で攻撃を受ければどうなるのか。ただで寒いのに背筋がより寒く感じる。

「レキお兄ちゃーん!」

 小さな声が足下から聞こえる。見下ろすと、動くなと言ったはずのゴモラが足下でぴょんぴょんと跳ねていた。

「私も戦うよ!『行け』って呼んでー!」

 何を馬鹿なことを・・・と思ったが、今の見た目は少女だが曲がりなりにもゴモラ。もしかしたら本来のUクリーチャーとしての力を秘めているのかもしれない。
 一縷の望みを賭けて、叫ぶ。

「行け、ゴモラ!」
『バトルナイザー、モンスロード!』

 途端、金色の光がゴモラから放たれ、カードのような光となったゴモラが俺の目の前で巨大化する。
 ビルをも越える巨体となって土埃を上げながら着地したその姿は・・・

「ぎゃおー!」

 先ほどと同じ、少女だった。

「さあ、がんばるぞー!」

 いや、せめて元となった怪獣の姿になってくれればまだ説得力あったんだが、巨大化したとはいえ女の子のままというのは・・・
 という心配をよそに、元気いっぱいロボットに向かって突進したゴモラは、あろうことか体当たりでロボットを吹っ飛ばしたのである。

「え」

 起きあがるロボットに、今度は太い尾を鞭のように当てる。ロボットはまた胸から光線を放とうとするも、ゴモラの手に生えた鋭い爪に砲口を防がれ、零距離で爆発する。
 見た目や中身が少女でも、そこはUクリーチャー。パワーや格闘センスはそのままだったようだ。
 これなら勝てる、という気持ちと共に、ウルトラマンとは一体・・・という複雑な気持ちに苛まれる。

「お兄ちゃん!ほら、とどめ!必殺技!」

 ロボットがよろけた隙に気づいたゴモラがこちらを振り返る。とどめ?ってなんだ?
 ああ、そういえばさっき技がどうのという話も聞いたか。そこも指示しないといけないのか。
 とはいえ、こちらもやられるために変身したわけではない。

「ゴモラ、超振動波だ!」

 技名を叫ぶと同時に、両手を合わせ、十字に組む。
 ゴモラの頭頂部から放たれた赤い波動と、俺の腕から放たれた白いトライウム光線が重なり、ロボットの腹を貫いた。


    ※


 太陽が地平線近くまで落ち、赤い空が徐々に暗闇へと変わっていく中。人間に戻った俺は、元の大きさに戻ったゴモラと相対していた。
 隊長たちの報告だと、他のGクリーチャーたちも消滅していったらしい。おそらくは目の前にいる、ゴモラも。

「・・・また、元通りなんだね」

 ゴモラが話した、狭いところに閉じこめられたという記憶。おそらくは、雑誌の一ページとなっていた時の意識がわずかに残っていたのだろう。
 雑誌を開けば光に照らされ、明るくなる。しかし本を閉じて本棚にしまうと、暗黒の中へ拘束される。
 俺たち人間からすればそれはただの日常風景だが、本の登場人物にはそれはどれだけ恐怖の世界なのだろうか。

「・・・大丈夫だ」

 宇宙線を操ることができない俺には、残されたわずかな時間、彼女の頭を撫でることしかできない。

「俺はお前のこと、絶対に忘れないから」

 本は飽きてしまえば、二度と開かれず、本棚の中で存在を忘れられる。
 たとえゴモラたちの元の読者がゴモラたちを忘れようとも、俺は忘れない。それが少しでも、彼女の勇気になってくれれば。

「うん。約束だよ、レキお兄ちゃん」

 頭を撫でられながら、気持ちよさそうに頬を染めて満面の笑みを浮かべたゴモラは、その表情のまま光の粒子となって、消えた。


    ※


「なんか不思議な事件でしたねー」

 とっぷりと日が暮れた頃になって、ようやく俺たちはCICに戻ってこれた。
 戻る前に二宮が本屋で買ってきたらしく、中央の机には件の雑誌が何冊か並んでいる。手近な一冊を取って開くと、先ほど見たゴモラが両手を構えて笑顔をたたえていた。
 こういったサブカル系に興味はないのだが、たまには買ってみるのもいいかもしれない。

「ま、宇宙線なんてそうそう何度も降ってくるもんじゃないし、たまにはこういうのもいいだろ」

 芦田は雑誌を読みながら「生で見たかったなー・・・」と小声でぼやいていた。まさか芦田、こういうジャンルが好きなのか。

「あら、宇宙線は数日は続くわよ」

 デブリーフィングなのか帰る前の一服なのか。ほのぼのとした空気を破壊したのは、ミサの一言だった。

「え」
「ガヴァドンも翌日再出現したし、少なくとも一週間は降り続けるんじゃない?」

 仲良く談笑していた芦田、二宮、隊長が凍り付き、青ざめる。
 つまり、明日も日が昇ればGクリーチャー、そして巨大ロボットが・・・

「な、なんで早くそれを言わないんですか!」
「ごめん、忘れてた」

 途端に慌てだすCIC。その後のてんやわんやや、翌日実際にGクリーチャーたちが出現したかという話は、また別の機会に。





7月7日は七夕であると同時に、晴れていれば星になったガヴァドンが見られる日。そしてかの偉人円谷英二監督の生誕日。

そんな日を記念して、ウルトラマンオリオンを久しぶりに書いてみました。

と思い立ったのが昨日の夕方くらいで、結局間に合いませんでした。

タイトルの通り6話と7話の間くらいという設定ですが、だいぶ間が開いて私も忘れたところがいろいろあっただろうから本編の流れには干渉しないように書きました。なのでウルトラマンを知っていればオリオンのことを知らなくてもだいたいは楽しめるんじゃないかなーとか。


ガヴァドン宇宙線の2次元を3次元にするという能力、絶対今だったらサブカル系の話になるでしょうね。

なので他作品のアニメキャラが出現するみたいな話にしようかと思ったらそうだ円谷が全面協力してやっているアホな企画がちょうど進行中じゃないか!ってことでこうなっちまいました。

なお私はウルトラ怪獣擬人化計画を全力で応援していますが、知ってる情報はネットでわかるものばかりで4コマ漫画等のものは一切読んでません。単行本待ちです。

どうもピクシブを見ると世界観とかは好き勝手に設定していいんじゃないかってことで好き勝手しました。ゴモラがレイの云々というのは渋で見たレイモンといちゃつくゴモラがかわいかったせいです。


でまあ、他作品のアニメキャラは没になったけどその名残として他作品の機龍が。ブラックホール第3惑星人でもG対策センターでもなく特自なのは単純に私が好きなんだ!悪いか!

大丈夫だってこいつの元のあの方も襟巻で擬態してウルトラマンと戦ってたし。バラナス某氏も顔だけ整形してQ含めて4回出演してるし。

絶対零度砲ってウルトラマン相手なら最強じゃないですか?特にセブン。


というわけで間に合わなかった円谷英二生誕祭ですが、実は7月10日説もあるとのこと。

そちらはウルトラマン放送開始日と重なってるし、その日はシノビで再度生誕祭をやろうかなーとか考えていますが、ネタが思いつくかどうか・・・
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