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「完璧ヒーロー」


 月曜日。私は土曜のことをヒーロー部のみんなに話した。

「「「それは・・・」」」
「優人ね」
「兄ィですね」
「藤宮」

 誰だよ。



「心配しなくても、本当は友達になりたいと優人も心ではそう思ってるから」
「そうです。私たちのことをもっと理解すれば、エンディングでお前誰だと言いたくなるような笑顔を振りまいてくれます」
「たぶん、根源的破滅招来体に、干渉を受けた」

 三者三様にあーだこーだ意見を出しているけど、要するに「最終的には仲間になってくれる」と言いたいのだろう。ヒーローものにはよくある展開だ。
 とはいえ、現実そんなにうまくいくとは思わない。

「勝負するってのは言っちゃったことだし、約束は守らないといけませんよ」
「でも泉ちゃん、どこでどう勝負するつもりなんです?」
「そこなんですよねー・・・」

 正直、あの方城という人と直接格闘して勝てる気はしない。
 かといって、競走など力比べでも敵いそうにないし、体力を使わないような勝負では向こうが納得しないと思う。

「そういうときはこれ!インベスゲームよ!」

 突然望さんが取り出したのは・・・錠前?にしては鍵穴がなく、フルーツのレリーフが貼ってあるけど。

「それで、どうやって勝負つけるんですか?」

 私が尋ねると、望さんは横のボタンを押して開錠する。
 『オレンジ!』という男の声、そして後ろのボタンを操作。『バトル!』『ユー、ウィン!』『ランクアップ!』と続けざまに音が出る。

「これで『ユー、ルーズ』が出るまでやり続けるという」
「それで納得するわけないでしょう!」

 「バキューン!」と(心の中で)叫びながらキュアキッスルージュを望さんへ叩きつけた。
 後で聞いた話だと、劇中ではそれでモンスターを呼びだして戦わせるということらしい。現実的に無理じゃないか。

「そもそもそれ以前に、その人にどうやって連絡するかもわからないじゃないですか・・・」
「泉、その人って名前なんだっけ?」
「方城光、だったと思います」

 バナナの錠前で望さんとインベスゲームをやっていた栄先生に答える。いつの間にか現れたけど慣れてしまった自分が怖い。

「そいつ、うちの生徒よ」
「え」
「1年3組の方城光といえば、痴漢検挙やら万引き通報やらで何度か警察から感謝状もらってる有名人よ」

 言われてみれば、全校集会の時に校長先生がそんな感じのこと言ってたような・・・半分寝てたからうろ覚えだけど。

「あたしたちも痴漢検挙やら万引き通報やらやってる割に、感謝状貰ったことないんだけど」
「あんたらは傷害罪でプラマイゼロになってるのよ。もみ消してるだけありがたいと思いなさい」

 まあ、ヒーロー部の活動は端から見ればただの喧嘩だからなあ。
 というかもみ消してるんだ。栄先生どんな権力持ってるんだろう。

「その人って、部活って入ってますか?」
「さあねえ。でもそんな噂を聞かないってことは、入ってないんじゃないかしら」
「じゃあ今日は帰ってるかもしれないから、明日にでも3組に行って・・・」
「その必要はねえよ」

 また誰かが会話に割って入る。
 みんなは誰だと首をかしげるが、私には聞き覚えがあった。
 部室の入口へ目をやると、昨日見たドヤ顔が扉に身体を預けていた。体育授業か部活か、ジャージ姿が引き締まった身体に似合っている。

「よう。勝負は決まったか?」
「え、えーと・・・」
「決まったわよ。次の日曜日、二丁目はずれの採石場」

 って、ちょっと先生!なに勝手に決めてるんですか!
 私の制止も無視して、先生は続ける。

「内容は当日のお楽しみってことでどうかしら」
「言っておくが、頭を使ったり運で勝てるような勝負は受けないぞ」
「わかってるわよ。教師として殴り合いさせるわけには行かないけど、ちゃんとあなたも納得できる方法だから」

 いいだろう、と言い残し、光は立ち去った。

「どうするんですか!あいつが納得するような勝負で私たちに勝ち目なんてないじゃないですか!」
「だいじょーぶ、勝算はあるわよ。先生を信じなさい」

 そこまで言われると、口をつぐむしかない。言うことやることむちゃくちゃだけど、やるときはやるし、私たちのことを思ってくれているはず。なんだけど・・・なんか不安。

「ところで、採石場って・・・?」
「ええ、みんな喜ぶはずよ。特に望と花」


    ※


「こ、ここってまさか、ゴーカイジャーの映画で全戦隊が集合するシーンのあの!?」
「んなわけないでしょうが」

 日曜日、先生の車で連れて行かれた先は、赤茶けた岩肌がむき出しになっている岩場だった。
 なるほど、石だらけの荒野は特撮の撮影には持ってこいな雰囲気だ。今にもあの崖の上からヒーローがポーズを取りながら現れそうだ。
 もっとも角度限定だけど。後ろを振り返れば木々や町が見える。スタッフはそういうのが見えないように気をつけながら撮影しているのだろう。苦労が見える。
 まあ、ここで実際に特撮が撮影されたわけではないらしいけど。

「さ、早速勝負を始めようぜ。何をすればいいんだ?」

 光もすでに到着しており、岩壁を背に立っている。
 「はいはい」と子供をあやすように頷いた先生は、乗ってきた車に積んでいた荷物を広げる。これはキャンプ用の折り畳める机と椅子が二つかな。
 それを地面の中央に並べると、机に両手をつき、先生が叫ぶ。

「勝負は、腕相撲よ!」

 ドヤ顔と一緒に、栄先生の声が採石場へ響きわたった。
 えーと、腕相撲。互いの手を握って、自分の腕とは反対へ倒した方が勝ちというあれだろうか。
 どこかの特撮番組には同じ名前で別の勝負があるのかもしれないけど、栄先生が用意した机と椅子は、私が知っている腕相撲をするにはぴったりだった。
 とすると、私がツッコむべきことはただ一つ。


「なんでこんなところまで連れてきたんですか!」


「雰囲気は大事よ」
「そうです!アキバレンジャーだって変身したらここにワープするんです!」

 私の渾身を込めたツッコミは、栄先生の冷静な返しと花さんの熱弁に説き伏せられた。ああ、そうか雰囲気か。雰囲気は大事だな。うん。
 なんて自分を納得させてる間に、光と望さんがさっさと座り、手を組んでいる。

「ヒーロー部4人がそちら1人と勝負。1回でもヒーロー部が勝てばこっちの勝利。それくらいのハンデはのんでくれる?」
「いいだろう。全員倒してやる」

 絶対的な自信を持っている光。その証拠に、すでに始まった望戦は光の方が善戦している。

「先生、こういうのって、先鋒が私たちで大将が部長じゃないんですか?」

 剣道じゃないんだからそんなこと関係ないのかもしれないけど、なんか順番に違和感を感じる。

「・・・泉、タイラントって知ってる?」

 先生は質問に答えず、代わりに小声でこちらにささやく。
 タイラント・・・って、この間円ちゃんと一緒に見に行った映画に出てきた怪獣だっけ。

「タイラント。別名暴君怪獣。ウルトラ兄弟に倒されたシーゴラスとイカルス星人とベムスターとハンザギランとバラバとレッドキングとキングクラブの怨念が合体して生まれた怪獣。ただしシーゴラスとハンザギランは倒されてないし、一説によると角はブラックキング」

 隣に立っていた円ちゃんが代わりに答えた。よくまあ覚えていられるし、普段もどもらずにすらすら喋られればいいのに。

「んじゃ円に質問。タイラントの倒し方は?」
「ロケット基地を爆破する」
「うんそれはチャイヨーのほうだね」

 円ちゃん、私に理解できない領域でボケないでほしい。先生もよくわからないツッコミをしないでほしい。

「タロウの時よ」
「バラバ鞭?」
「その前」
「ウルトラ兄弟と順番に戦う」
「そう。いくつもの相手と戦い、疲弊した状態で地球にやってきたところを、末っ子が倒すの」

 よくわからないけど、ようするに何回も戦わせて疲れさせるってこと?その上で最後に勝負するのが・・・え、私?

「わ、私がその、末っ子?」
「わたし、泉ちゃんより、誕生日あと」

 あ、なるほど私がヒーロー部で一番年下なのか。ってそうじゃなくて!

「あんたが話ふっかけたんだから。決着つけなさいよ」

 うー、確かにそうだけどさあ・・・
 なんて言ってると、花さんが負け顔で円ちゃんにバトンタッチした。いつの間に望さんは負けてたんだろう。
 先生の作戦は成功しているのか、確かに疲れが見えているようだ。手を組む前に肩をぐるぐる動かしている。
 しかしそれでも「普段特訓している男」と「しょっちゅう遊んでいる女」の差を埋めるには足りず、円ちゃんの手の甲は机についた。
 3戦連敗。残るは私のみ。でも、3人の勝負は、確かに光の中に疲労を蓄積させてるはず。

「最後はお前か。余裕だな」

 光は額にわずかに汗が浮かぶものの、余裕そうに不敵な笑みを浮かべる。
 机を挟んで対峙するが、勝てる気がしない。握った手の力強さが、すでに私の握力を勝っていることを教える。

「大して強くもないのに挑戦するってのは、ただのバカだぞ」
「あなたは、それほど自分の強さに自信を持ってるのね」
「ああ。オレは物心ついてからずっと強くなりたくてここまで来た。世界最強だなんて驕るつもりはねえが、お前らに弱いといわれる筋合いはない」
「いや・・・強いよ。君は」

 そう。強い。口だけの奴らとは違って実力も持っているし、その力の使い方も間違っていない。だから、うらやましいんだ。
 そうだ。この闘いは、私がそんな光にあこがれ、嫉妬したことから始まったにすぎない。
 だけど、彼が絶対的に間違っていることが一つある。

「訂正してほしい。ヒーロー部は遊びでやってるんじゃないって」

 だから私も逃げず、ここに座っている。戦いを挑んでいる。

「確かに普段やっていることは遊びに見えるかもしれない。でも、気持ちは真剣にヒーローを目指しているの」
「それこそ馬鹿馬鹿しいんだよ。気持ちだけで世界平和になるのであれば誰も苦労はしない」
「でも、気持ちがなければ行動はできない」

 ぴくりと、本当にわずかに光の手が震えた。

「足りないのはわかってる。この身体じゃ、ヒーローたちの能力には遠く及ばない。だけど・・・」

 私は空いた左手を、左胸に添える。

「せめて魂は、共にありたい。だから私たちは、ヒーロー部にいる」

 それは、望さんたちと初めて会ったときにかけられた言葉。だいぶ前のことだけど、今も私の心に刻まれている。

「だからお願い。私たちのことは見下してもいい。でも否定はしないで。私たちを」

 光は私の目をまっすぐ、いつもと同じ冷酷な目で見つめる。

「レディ」

 先生の声に、私と光の手に力がこもる。

「ゴー!」

 その言葉と同時に、右手を一気に左に倒す。当然、反対に押される力が腕一杯にかかる。はずが・・・

ぱたん

「・・・あれ」

 あっという間に、光の右手は机についていた。
 手を見て、光の顔を見る。光の表情は一切変わらず、私を見つめていた。

「あ、フライングしちゃった?ごめんもう一回・・・」
「いや、オレの負けでいい」

 突然興味をなくしたように、光は私の手を離し、立ち上がる。

「な、なんで?」
「お前達をバカにしたことは訂正するし謝る。それでいいだろ」
「答えなさいよ!」

 立ち去ろうとする光の肩をつかみ、振り向かせる。
 と、勢いがつきすぎたのか、足がもつれて倒れる。って、ここ岩場・・・

「大丈夫か?」

 気がつくと、首に光の手が回り、なんだかダンスの途中のような体勢になってしまった。
 ってこれ、顔近いんだけど・・・

「お前達が遊びでやってるんじゃないってことはわかった。お前の目を見たらわかる」

 いや、語ってくれるのはいいんだけど、体勢元に戻してくれませんか。顔近い。ドキドキしてるのバレる。
 違うから。転びそうになったからドキドキしているんであって、恋してるとかそういうんじゃないから。

「オレとは違うヒーローもいて、お前達はそれを目指すんだな」

 やっと立たせてくれた。自然と足が後ずさる。えっと、何の話でしたっけ。

「だったらさ、あなたもヒーロー部に入らない?楽しいよ」

 この状況を見ていた(それに気づいてさらに恥ずかしくなるんだけど)望さんが、光に声をかける。え、そういう話だったの。

「悪いが断る。オレは、お前達とは別のヒーローを目指すからな」

 小さく振り返った光は、それだけ言い残して立ち去った。その顔は確かに、今までとは違う笑顔だった。

「・・・あんな顔もできるんだ」

 方城光。不思議な人。堅物かと思えばあんなふうに笑うし、かといって私たちとは明らかに違う人種。なのに、私たち同様ヒーローを目指している。
 なんというか、もっと知りたい。彼を。
 ・・・あれ、これって恋?んなわけないよね。


「・・・泉ちゃん、なんか、不思議な顔、してる」
「あれは恋する顔ね。ダグバ戦で五代さんを見送る桜子さんと一緒よ」
「でも光って、男勝りだけど女よ」
「黙っておきましょうか。面白いし」

 後ろで4人が何か話してたけど、私には聞こえなかった。





前回見直してたら、ギンガの映画やってすぐの頃なんですね。劇中的にもうpしたのも。

ギンガテレビ版も終わったし映画第2弾ももうすぐじゃねーかよ!

それどころか鎧武始まったしトッキュウジャーもハピプリの情報も出てるし、色々ネタ考えてたけど前後回の間に他の話挟むのもどうよと思って自重してたのよ!その結果がこれだよ!

これも年までまたぐのはどうよと思ったので、急いで書き上げました。決して対決の方法考えてなかったわけじゃないんだからね。


さて方城光。オレキャラではありますがやっぱり女です。このシリーズに男性レギュラーはいらない。

だけど泉の恋ってなんか楽しそうだなーと思い、こんなことになってみました。こういう話ではありがちですが泉が光の性別に気づくことは最終回までありません。最終回の予定は今のところないので、今のところ一生ありません。

最近艦これやりまくっているせいか、オレキャラだとイメージが木曾さんになるから気をつけねば。天龍?知らん。

制服や普段着で気づきそうな気もしますが、うまいこと気づかないのです。その辺今後ラブコメしていく予定なのでそこでお楽しみください。

しかし光は追加戦士以下のゲストヒーロー、キョウリュウジャーのラミレスや鉄砕ポジションなので登場したりしなかったりします。うっちーは栄先生。


そんなわけで、これが今年最後の小説でしょう。

これからもこの小説のバカたちと動画のバカと、私とブログをよろしくお願いします。よいお年を。
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